年功序列を守る意味
万松青果の基本的なポリシーの中で、一番の特徴、批判、質問の多いのが、この、
「年功序列」を守っていることでしょう。
時代錯誤的に見えますし、「頑張った人が、頑張らない人と同じ給料なんてありえない」という方もたくさんいらっしゃることは、もちろん承知しています。
万松青果では、一緒の時に入ったら一緒の給料、一緒のボーナス、簡単です。
自分の仕事に対する評価が自分の給料、他人は関係なし。「他の人に比べて~~」と言う人は絶対に最初から雇いません。交渉もなし。
よく、「それは小規模の会社だからできる」とのご意見をいただきますが、それは違うと思います。
実は万松青果も、以前は「よく考えもせずに」成果給・能力給・人事評価を実施していましたが、それをしていた当時の「嫌なムード」が忘れられません。
そもそも今の仕事の体系を根本から変えずに、アメリカ式の給料体系を、ご都合主義で取り入れても、うまくいくはずがないのです。
普通は、「昔は年功序列だったが、今は能力・成果に応じた給料にしている」会社が多いと思うのですが、弊社はその逆です。
しかし、能力給・成果給・人事評価を採用してる「中小企業」」は、以前に比べて会社の業績が上がり、ムードもよくなって、勤める社員もさらに幸せになったのでしょうか?
会社がさらに幸せになり、社員もさらに幸せになったのならわかりますが、もしそうではないとしたら、いったい何のためにその様なものを導入したのでしょうか?
弊社のような中小企業に働く人は、「この仕事がやりたかった」とか「この業界に入りたかった」「この仕事にあこがれていた」なんて人は少数です。
これが本当に重要なところです。
「必ずしも、この仕事をしたかったわけでもない」
「仕事以外の目標のため、結婚や子供のためにこの会社に来た」
なんて言うのが大半です。
採用の募集に応募した時には、いったいどのような仕事をするのか、イメージさえ湧かなかったことでしょう。
そう、そもそも仕事に対する憧れや上を目指す気持ち、最初からそんなものを持って万松青果の採用に応募してきたわけではないのです。
しかも、中小企業に勤めるほとんどの人は、転職へのハードルがすでに低くなっている「中途採用」がほとんどなのです。
中小企業の人材採用とは、「中途採用」のことです。
中小企業、ブルーカラーの人たちは、人生に素晴らしく高い目標を持って生きてきたわけではない、極々フツーの人たちなのです。
その様な人たちに、突然の「成果主義」は馴染むものではありません。
社員に、社長でも達成できない「成果」を求めたり、解決方法の「責任」を押し付けて、その結果を「評価」する会社が多すぎます。
その様な会社では、転職へのハードルが低くなっている中小企業に勤める人は、やめてしまいます。
社員はお客様が喜んでもらうことだけを考え、売上の責任は社長がとるべきものと考えます。
これが、万松青果が「年功序列」にこだわる理由なのです。
万松青果では、もちろんいろいろな人がいて、全く現在の仕事とは関連のない世界・業界にいた人がほとんどです。
しかし、そのようなフツー、少し言いにくいですが、それ以下の人でも、「少しデキる人」に育て、「かなりできる人」「すごくデキる人」に成長させていく。
そして社員全員でその人をフォローする「企業文化」があることが重要だと思います。
「中小企業」の能力主義・成果主義・社員評価は、「頑張っている社員の給料を上げる」ためではなく、「頑張っていない・あいつは気に食わない」と「上司が考える」人の給料を「下げる」ために導入され、会社が支給する給料の総額を「下げるためのもの」のような気がします。
「誰もが納得する、完璧な評価」自体がそもそも無理筋ではないでしょうか。
「ちょっと売上が上がったり下がったりして、それが原因で給料が上がったり下がったりしたらやる気をなくすわ」
まさに内発的動機、弊社の社員はそのように考えているようです。
中小企業の経営者は、そのようなスタッフに十分報いることのできるような報酬を用意できる経営をすることが、本来の仕事ではないのでしょうか。